Anthropology and feeling’s diary

人類学に関する本、日常で思ったことなど。

住むことは生きること。貪欲たれ。 坂口恭平『TOKYO0円ハウス0円生活』

 

TOKYO 0円ハウス 0円生活 (河出文庫)

TOKYO 0円ハウス 0円生活 (河出文庫)

 

 建築畑出身の著者が東京・隅田川沿いのブルーシートハウスの「鈴木さん」の家に入り浸り(れっきとしたフィールドワーク!)ながら独自の視点でその生活を書き綴ったもの。

 

川沿いや橋の下、公園の端に立ててあるブルーシートハウスは普段目にすることも多い。しかし、無意識に見ないようにしていたり、ちらっと見たとしても中の様子など分からない。

しかし、この中には人が生きるという世界が詰まっている。

そしてこの「建築」自体も生きることそのものである。

それは外枠ばかりの建物に住んでいる者たちが忘れていることである。

「自分が快適に生きる。」この目的のために家はあるはずなのに、どうして家に閉じ込められるようにして不快な思いをしなければならないのか?

しかも、快適さを追求しようとするほどに莫大な金額がかかり、他の人間が作った大したことないものを手に入れる。

一方、「鈴木さん」の家は総工費0円。そして維持費も0円。東京の天然物たる「ゴミ」(しかしほとんどは十分に使えるものばかり)を材料に、自分の生活に合うように自分で工夫して作り、改良し続ける。

こんな究極であり、かつ当たり前であるはずの住まいが東京にあるとは誰が思っただろうか?

そう、「鈴木さん」が隣人に教えるようにして書かれた本書を手に、君もこの暮らしを手に入れることができるのだ。温かみのありながらも端正な図説も載っている。

だから、これは「危険な書」である。

 

住むことは生きること。貪欲たれ。

 

坂口恭平さんは進化し続けているが、「建築」という眼を通して見られた本書は源泉なのかもしれない。

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